工務店の選び方で失敗しないためのポイントはこれだ!
工務店の探し方・調べ方
あらゆる特徴の工務店を調べる
一口に「工務店」と言っても、その形態や規模はさまざまです。たとえば社長と数名の従業員で町や市といった狭い地域内で営業している小規模な工務店、本部が開発した商品や技術を取り扱うフランチャイズ加盟店、本社といくつかの支店や営業店を設置し、ある程度広範囲で営業している中堅ビルダーなど。
あるいは、コスト重視の工務店、建築家顔負けのデザイン力を持った工務店、職人の質を重視した工務店というように、強みとしている分野や家づくりのモットーもその工務店によって変わってきますよね。
業態も規模も違う、特徴や強みも異なる工務店をいきなり比較しようとしても、一体なにを比較すればよいのか分からないということが起こります。先ずはあらゆる業態・規模・特徴を持った工務店を洗い出し、同じ業態、同じ特徴を持つ工務店をひとまとめにするところから始めましょう。比較するのはその後です。
住宅展示場・完成見学会を見て決めない
住宅展示場や完成見学会のような「宣伝用」のモデルハウスは、たいていの場合、フルオプションで建てられています。同じものを建てようと思ったら、莫大な費用がかかってしまうでしょう。つまり、あまり参考になりません。
住宅展示場がなく、見学会を開いたことがない工務店はたくさんありますが、宣伝広告をせず、営業マンさえいないにも関わらず、紹介だけで次々と仕事を依頼され、数年先までスケジュールが埋まっているなんて工務店は少なくありません。口コミだけで運営できるような工務店こそ、もっとも優良業者だと言えるのではないでしょうか。
こうした工務店に巡り合うのはなかなか難しいかも知れませんが、口コミを参考にできるメディアやSNSなどを用い、実際にそこで家を建てた人の体験談や感想などを参照するのも良いでしょう。
見積もりをたくさん取らない
自動車の価格とは違い、住宅には「相見積もり」というものが存在しません。工務店によってそもそも計算の方式が違うため、価格の公正な比較は難しいと言えます。 本気で「価格の比較」がしたいのであれば、設計図は設計事務所で作成し、工務店に見積書作成の依頼をする、ということをするしかありません。もちろんそんなことをすれば余計にコストがかさんでしまいます。
本当に比較すべきなのは「プラン」の良し悪しです。プランを比較する目的で数社に見積もりを依頼するというのならばありですが、例えば最終的にここに依頼することはないだろうと思いつつも、価格交渉のために数社に見積もりを取る、というのは、すべて無駄になってしまう可能性が高いのでおすすめできません。
工務店の選び方・見極め方
ワンストップである
土地開発、住宅設計、施工、そしてアフターメンテナンスに至るまでのすべての工程を、一社ですべて請け負う「ワンストップサービス」の工務店には、土地の選定や間取りプラン、建築工事や引き渡しまでのすべての工程において専門的な知識を持ち、総合的にアドバイスできる担当者が揃っているため、それぞれの工程を別の業者に委託するよりも柔軟な対応で家づくりを実現することができます。大工さんや職人さんに関しても、工事のたびによそで探してくるという工務店より、常雇いしている工務店の方が品質が安定し、精度は高くなると言えます。
聞き取り能力がある
工務店選びでもっとも大切なことは、代表者の人柄です。代表者との面談で、話がきちんとできるかどうか、意思の疎通がはかれるのかどうかというのは、必ずチェックしておきたいところ。特に、ヒアリングを丁寧に、熱心に行ってくれるか否かは大変重要です。と言うのも、ヒアリングが不十分では、自分の希望もうまく伝わりませんし、相手の伝えたいことも入ってきませんよね。希望が叶う家を建てるためには、代表者の雰囲気や相性、コミュニケーションがうまく取れるかどうかなど見極めるようにしましょう。
住宅の品質や安全性ももちろん、何よりも住まう人の健康と快適な暮らしができる住環境を整えることを家づくりの目的にしている、というような熱いパッションが代表者から汲み取ることができれば、家づくりが彼のライフワークであるという証です。
地元で実績があり評判がいい
ハウスメーカーのように大規模な広告宣伝ができない工務店では、集客の大半を口コミによる評判に頼っています。長年地元に根付いている工務店は、昔からお客様との付き合いを大事にしてきた証拠です。反対に地元での評判が悪い工務店は、長続きせず潰れてしまいます。
地元からの信頼を得ている工務店は、誠実な家づくりをしてくれる可能性が高いと言えます。建設現場を見学に行けば、新築中の現場が整理整頓されていて、職人さんは爽やかな挨拶をしてくれるでしょう。
万が一、建築材料がぞんざいに扱われていたり、煙草の吸殻が散らばっていたり、大音量で音楽を聴いているような現場であれば要注意です。
神奈川で工務店を選ぶなら住宅の気密・断熱性にこだわろう
断熱は住宅の性能を比較する上で非常に重要な要素です。特に寒暖差の大きい「太平洋側気候」である神奈川県においては、夏は室内の冷えた空気を逃さない、冬は温かい空気を逃さない、また外気を遮断する住宅性能というのが、一年を通して快適な住まいを造るのに欠かせませんね。
家の中で冷やしたり温めたりした熱を外に逃がさないようにするため、また外気が家に入ってくるのを防ぐため、壁の内側や床下、天井裏などに熱が伝わりにくい素材を敷き詰めますが、これを「断熱材」と呼びます。
断熱性能は使用している断熱材に大きく左右されるので、それぞれの性質を把握して最適な断熱材を選ぶことが重要です。断熱材の種類は「鉱物繊維系」「木質繊維系」「発泡プラスチック系」があり、以下のような特徴があります。
- 鉱物繊維系
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- 価格が手頃
- 耐燃焼性を持つ
- 防音性と吸音性を持つ
- 防湿材が必要
- 木質繊維系
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- 価格が高い
- 天然素材で自然に優しい
- 防音性と吸音性を持つ
- 発泡プラスチック系
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- 費用対効果が大きい
- 防湿性が高く結露防止効果もある
- 外張り断熱や床断熱が可能
- 材質によって性能を調整しやすい
現在の住宅の8割は安価でメジャーな鉱物繊維系のグラスウールが使用されているともいわれるのですが、グラスウールは湿気に弱い性質があり、水分を含むと重さでズレ落ちたり、断熱性能が落ちやすいというデメリットも抱えています。また、水分を含み続ければ木材や壁が腐る原因になるため、結果的に家の寿命が縮むこともあり得ます。
私は費用対効果から考えて発泡プラスチック系の断熱材に魅力を感じたので、断熱材は発泡プラスチック系の発泡ウレタンに決めました。発泡プラスチック系の断熱材はグラスウールなどの鉱物繊維系の弱点である湿度に強く、経年劣化もしにくい素材です。価格は鉱物繊維系より高くなってしまうこともありますが、断熱性能は省エネ性能にも直結しますから、これはコスト面でも大きなメリットといえます。
断熱性能を表す数値
では具体的に断熱性能はどうやって判断すれば良いのか、となりますが、これは数値で表すことができます。断熱は使用している断熱材の熱伝導率、すなわち熱の伝わり方によって性能の良し悪しがわかり、これを値として表したものが熱損失係数を表す「Q値」や「UA値」と呼ばれるものです。いずれも数値が小さいほど断熱性能が高いことを表しています。
概要 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
Q値 | 外壁・天井・床などの熱損失量(熱が逃げる量)を計算し、熱損失量の合計を延床面積で割ることで算出する | 断熱性能を住宅全体から判断することが可能であり、各部の断熱性能のバランスがわかる | 床面積が狭い住宅は数値が高くなってしまうことがある |
UA値 | 外壁・天井・床などの熱損失量(熱が逃げる量)を計算し、熱損失量の合計を外皮面積(屋根・外壁等)で割ることで算出する | 結果の正確さが住宅の大きさに左右されにくい | 住宅に必要なエネルギー量を計算するには向いていない |
どの工務店を選べばいいのか迷った場合、こうした値が指標となることもあります。目安のひとつとして考えておきましょう。
断熱性と気密性の関係
断熱性と気密性には深い関係があります。もし気密性が低い住宅に高性能な断熱材を使用した場合、断熱材がパフォーマンスを満足に発揮できるかといえば答えはノーになります。気密性が良くないほど家の中と外の温度差は変わらなくなっていきますから、熱を逃がしにくくしたところで夏に涼しい・冬に温かい部屋にすることは難しいのです。
気密性能を表す数値
気密性能は「C値」で測ることができます。C値は「隙間相当面積」のことで、家の隙間面積の合計を延床面積で割ることで算出し、単位は㎠/㎡で表記します。
C値もUA値などと同様、数値が小さいほど気密性が高く隙間が少ない住宅であることを表します。北海道や東北地方ではC値は2.0㎠/㎡が標準で、本州では5.0㎠/㎡が最低基準とされていますが、海外の基準を見るとカナダでは0.9㎠/㎡となっています。日本のハウスメーカーはC値を公表していないことも多いため、C値を公表していて、かつ高い気密性を持つ家づくりをしているところをよく見極める必要があります。
神奈川で工務店を選ぶなら住宅の耐震性にこだわろう
「南関東直下地震は30年以内に70%の確率で起こる」と言われる今、神奈川県で注文住宅を建てるなら、マグニチュード7規模の直下地震に備えなければなりません。
住宅の耐震性能について調べてみると、「旧耐震基準」と「新耐震基準」というものが出てきます。この「新」「旧」の違いは1981年6月を境として耐震基準が変わったことから生じているものです。耐震基準は阪神大震災や東日本大震災のような大規模地震の度に少しずつ見直されているのですが、1981年6月の改正で新耐震基準が定められた際は大地震でも住宅が倒壊しないことが前提となり、新耐震基準を満たした住宅は阪神大震災でも倒壊は起こりませんでした。
旧耐震基準で建てられた住宅の場合、耐震診断と耐震補強をすることが推奨されますが、新築住宅の場合、現在は基本的に全て新耐震基準に準拠しています。しかし、その中でも耐震等級によって耐震性能は異なります。
耐震等級って何?
耐震等級は耐震基準とは違うもので、地震に対して建物が耐えられる性能、強度を示しています。「品確法」に沿った住宅性能表示がされていて、「耐震等級1~3」の3段階にわかれています。耐震等級は数字が大きくなるほど性能が高くなり、学校や病院などの公共施設は耐震等級2で設定されています。耐震等級3が最も高性能です。
- 耐震等級1
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- 「建築基準法」の耐震性能の水準を満たしている
- 数百年に一度(震度6強~7)の地震でも倒壊・崩壊をしない
- 数十年に一度(震度5)の地震でも住宅が損傷しない
- 耐震等級2
- 等級1の1.25倍の地震でも耐えることができる
- 耐震等級3
- 等級1の1.5倍の地震でも耐えることができる
耐震・制震・免震の違い
耐震性能については構造も大きく影響してきます。構造については「耐震構造」「制震構造」「免震構造」の3種類があり、それぞれ耐震性能が異なります。高性能な構造ほどコストもかかりますが、耐震性は大切な家族の安全に関わります。できるだけ良いものを採用できるよう検討していきましょう。
- 耐震構造
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- 建物の強度を強くすることによって地震に耐える構造
- 現在ある住宅の99%を占める
- 制震構造
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- 専用の装置によって揺れを建物内で吸収する構造
- 耐震構造よりも揺れを20~30%軽減できる
- 建物の壁や柱に制震装置(ダンパー)を組み込み地震の力を熱エネルギーに変える
- 地震が起こっても建物に罅割れが入りにくくなる
- 免震構造
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- 専用の装置によって揺れを回避する構造
- 地震の力を40~60%カットできる
- 建物の基礎に免震装置(ゴム)を設置することで揺れを吸収する
- 地震が起こっても長くゆっくりとした揺れになるので建物の倒壊や損傷を防ぐことができる
- 建築コストが3%程度上がってしまう