工務店で家を建てるまでの流れとおさえておくべきポイント
家を建てる流れ①予算の決定
神奈川に家を建てることが決まったら、まずは資金計画を立て、融資を受ける準備を始めましょう。予算の決定は、注文住宅にかかるおおよその金額と、自分たちが準備できるおおよその金額を算出し、照らし合わせるところから始まります。
注文住宅にかかるおおよその金額
全国平均 | 神奈川平均 | |
---|---|---|
土地取得費 | 1291.4万円 | 2267.7万円 |
建築工事費 | 2663.3万円 | 2545.2万円 |
延床面積 | 113.3㎡(34.2坪) | 105.9㎡(32.0坪) |
坪単価 | 77.7万円 | 79.5万円 |
総費用 | 4574.9万円 | 5534.8万円 |
神奈川県の場合、注文住宅にかかる総費用は、全国平均に比べてやや高く、土地取得に占める予算の割合が大きいということが分かりました。
また、総費用額が「土地取得費+建築工事費」よりも高くなっている理由は、ローン関係費用、引越し費用、家具などの購入費といった諸費用が加算されているためです。注文住宅にかかる総費用の内訳は、以下の通りです。
- 土地取得費 土地の購入費です。神奈川県の場合、予算の大部分を占めるのが土地取得費になります。住みたいエリアの価格相場を知り、適正な割合で土地と建物の費用を総予算の中から割り当てるようにしましょう。 神奈川県の地価相場や人気エリアについて知りたい方はこちら
- 建築工事費 建築工事費は、さらに細かく「本体工事費」と「別途工事費」の2種類に分けられます。「本体工事費」というのは、いわゆる注文住宅の「本体価格」と呼ばれるもので、建物の構造や床面積、依頼先、グレードなどによって異なります。一方「別途工事費」は建物以外にかかる費用のことで、ガスや水道などの敷設工事、駐車場や庭などの外構工事などがこれに当たります。
- 諸費用 工事請負契約に含まれない出費を指します。ローン関係費用、引越し費用、家具などの購入費などがこれに当たりますが、場合によってはかなりの額になることもありますので、あらかじめ資金計画の中で費用に計上しておくことが必要です。
- 税金 2014年4月から8%に引き上げられた「消費税」、登記の際に1度だけかかる「登録免許税」、家を取得する際に1度だけかかる「不動産取得税」、家を所有していることで毎年かかる「固定資産税」などがあります。
自分たちが準備できるおおよその金額
自分たちが準備できるおおよその金額は、貯蓄額と住宅ローン借入可能額の合計になります。貯蓄額はいわゆる「自己資金」で、「頭金」や「諸費用」など、住宅ローンに含まれない費用に充てられます。住宅ローン借入可能額は、年収や返済期間などによって異なります。
「2017年度フラット35利用者調査」によれば、一般的な家庭の注文住宅購入の際の資金調達の内訳は、平均すると以下のようになります。
全国平均 | 神奈川平均 | |
---|---|---|
世帯年収 | 599.3万円 | 699.4万円 |
自己資金 | 461.5万円 | 573.6万円 |
住宅ローン借入額 | 3371.8万円 | 4041.0万円 |
その他の借入 | 121.5万円 | 198.4万円 |
毎月の返済額 | 10.9万円 | 13.4万円 |
住宅ローンの借入総額は、毎月の返済予定額から決めるのが一般的です。いま賃貸に住んでいるのであれば、その家賃をそのまま返済額として計算することができるので、返済が始まってからの生活もイメージしやすいですよね。
ただし、住宅ローンは単純に月に返済できる金額だけで決めてしまうのではなく、一生涯のライフプランを考慮して返済計画を立てなければなりません。
一生涯のライフプランとは、たとえば子どもの入学費や養育費、結婚資金、定期的に海外旅行へ行きたいなら旅行費用、家族の誰かが病気になったときの治療費、家電や家具の買い替え費用、家の修繕費、両親の介護費用、自分たちの老後費用など、生涯起こり得る様々な出費を想定して、これに向かって人生設計をすることです。
保険会社などには、ファイナンシャルプランナーが無料でライフプラン設計を考えてくれるようなサービスもありますので、積極的に活用するようにしましょう。
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家を建てる流れ②土地の決定
まずは地価相場を知ろう
土地探しは、どのエリアに住みたいかを検討し、その地域の地価相場を調べるところから始まります。地価相場を把握しておくことで、「面積のわりに価格が高い・安い」といった基準を持って土地探しができるようになり、例えば高い土地には「利便上の好条件が付加されるのでは?」と勘を働かせることができるようになるのです。
あるいは、土地購入の予算から住みたいエリアを決めることもできるでしょう。住みたいエリアが絞られることで、希望の土地はぐんと見付かりやすくなります。
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効率的な土地の探し方
予算と相場がマッチしているのに希望の土地が見付からないという場合には、土地の探し方を間違っている場合があります。こうした事態に陥らないためにも、土地探しを始める前に、効率的な土地の探し方を押さえておきましょう。土地を探す主な方法は、以下の2通りです。
- 不動産業者に相談する 不動産業者の営業店舗に直接行って聞いてみると、インターネット上で検索できるような土地の情報はもちろん、不動産会社のホームページに掲載されている土地をはじめ、その他にも似たような土地をいくつか紹介してくれるでしょう。ただし、土地の広さに対してどのくらいの広さの家が建てられるのかといった建築に関する知識を持った不動産業者はほとんどいませんから、購入を決める場合には、家の設計を依頼する予定の担当者に同行してもらい、その土地の地盤、建ぺい率、容積率などをチェックしてもらうと安心です。
- 工務店に相談する 家の施工を相談したい施工業者が決まっているなら、その依頼先に「家と土地を購入する意思がある」ということを伝え、家の間取りとあわせて土地探しの相談を持ちかけてみるのもひとつの方法です。不動産業者がいわゆる「囲い込み」と呼ばれる手法で隠し持っている、広告に掲載される前に売れてしまうような良い条件の土地などを、施工業者側に交渉をしてもらうことで、買い付けることができるケースもありますし、土地・家・諸費用のトータルで見積もりを立ててくれるため、土地と家にかかる費用のバランスもひと目で分かるので安心、というメリットも得られます。
土地そのものの価格の他にかかる費用
土地購入の際、土地そのものの価格の他に、以下のような諸費用がかかります。
- 印紙税
- 土地の売買契約にかかる印紙代です。土地の価格によって変動しますが、1,000万円~5,000万円までの税額は1万円になります。
- 仲介手数料
- 土地の売り主と買い主の間に不動産会社を仲介している場合、その仲介業務の対価として対して発生する費用で、売買契約時、引き渡し時にそれぞれ半金を支払います。土地価格の3.24%+6.48万円を上限と定められています。
- 登録免許税
- 不動産取得で登記をしたときにかかる税金で、固定資産税評価額×税率で割り出すことができます。
- 登記手数料
- 土地や不動産の所有者を登記簿に記載し、所有権を得るための手数料です。
- 地盤調査費用
- その土地が家を建てられる状態にあるかどうかを調査するための費用で、5万円前後が相場と言われています。
- 地盤改良工事費
- 地盤の強度が不十分な場合、家を建てられる状態に補強するための費用で、深さ2m~8mくらいであれば、一坪あたり3~5万円ほどが相場と言われています。
- 解体工事費用
- その土地に古い建物がある場合、これを取り壊すための費用です。「更地渡し」といって売主が負担するケースもありますので、古屋がある場合には事前に売主側と相談するようにしましょう。
気に入った土地が見付かったら、土地資料をもらっておくようにしましょう。施工業者にプランを作ってもらう際や、住宅ローン申し込みの際に必要になる書類です。
家を建てる流れ③工務店の決定
注文住宅を建てる過程で、いちばん重要なのが工務店選びです。逆に言うと、いい工務店を探し当てることができたらもう満足のいく家が建ったも同然です。優れたデザイン力、高い施工技術、予算内で建てることができるかなど、人によって重要視するポイントは様々ですが、まずは自分たちが建てたい方向性の家を得意とする会社を見つける必要があります。実際に重要視したい項目を書き出してみて、優先順位をつけるなどして検討するとよいでしょう。
- 気密・断熱性
- 耐震・耐久性
- 設計・間取の自由度
- デザイン力
- 価格
- 企業規模
- 施工技術
- アフターサービス
デザインについては「好み」によるところが大きいため、ホームページやカタログなどを参考に、自分たちの理想により近い業者を探してみましょう。
ただし、住居であることが大前提なのだから、どんなにオシャレでも住み心地が悪くては意味がありません。気密・断熱性や耐震性といった住宅の性能や保証制度が信頼できるかどうか、必ず確認をしておく必要があります。
また、設計や建設だけでなく入居後の定期メンテナンスや修繕・リフォームなど非常に長いお付き合いになりますから、アフターサービスの充実度なども重要な判断基準となりそうです。
いくつかの業者に足を運ぶうち、自分が求めているものを持っている会社がどのようなものか分かってくることもありますので、間取りプランや見積もりなどを実際に依頼してみて検討するのもいいかも知れませんね。ただし、検討段階での提案プランは無料で作成するという工務店もある一方、有料というところも少なくないため、ある程度絞ってから依頼するようにしましょう。
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家を建てる流れ④プラン・見積もりの詳細決定
依頼したい工務店が決まったら、改めて建築プラン・見積もりなどの詳細決定に進みます。建築図面には私達がよく目にする「平面図」の他に「立面図」「断面図」などがありますので、それぞれどんなふうに自分たちの要望が反映されているかをチェックしていきましょう。
- 平面図
- 各階にある部屋の用途や面積、ドアや窓の位置が書かれている間取り図で、建物だけでなく敷地全体を空から見下ろしたような図面になっているのが一般的です。図面上に置きたい家具や家電、生活動線を書き込んでみると、実際の家の姿をよりイメージしやすくなるでしょう。
- 立面図
- 建物の外観を表した図面で、外観デザイン、建物の高さ、ベランダの位置や大きさ、屋根や軒の形状、窓やドアなどが確認できます。希望する外観になっているかチェックしましょう。
- 断面図
- 建物を縦に切断した断面図です。吹き抜けやスキップフロアは平面図では分かりにくいので、断面図でイメージをつかみましょう。
また、見積書は金額だけでなく内訳もチェックするように心がけましょう。各工事の詳細や材料、寸法、数量や単価などが記載された内訳書では、打ち合わせで選んだ設備や部材・建材が記載されているか、数量や単価が正しいかを確認し、誤りや抜けている項目があれば修正してもらいます。工事金額と内容をしっかり見極め、疑問点があれば必ず担当者に確認しましょう。
家を建てる流れ⑤契約
土地の売買契約
「重要事項説明書」を確認し、土地の売主と「売買契約」を結びます。不動産業者に仲介をしてもらう場合、仲介手数料の半金、印紙税、売買代金の一部となる「手付金」を支払いますが、手付金は売主と買主との話し合いによって金額が決まります。
残りの売買代金は、融資を受ける際に売主の口座に金融機関から直接振り込んでもらうのが一般的です。同じタイミングで、不動産業者に支払う仲介手数料の残金も支払います。
引き渡しが完了したら、土地所有権の移転登記、固定資産税や都市計画税の清算を行い、日割りした金額を売主に支払います。
工事請負契約
正式に依頼先を決定し、その施工業者と「工事請負契約」を結びます。この際、設計料全体の約10~20%程度の設計着手金、建築工事費全体の約3分の1の建築着手金が発生します。
事前に詳細な見積書や仕様書などの全書類を確認し、設計図や金額が打ち合わせ通りかをよく確認しましょう。
住宅ローンの申し込み
各金融機関などで住宅ローンの申し込みを行います。「住宅ローン」と一口に言っても、金利はもちろん、その他の融資条件や手数料の違いなど商品は様々です。ライフスタイルや収入に合った借り方、返し方をするためにも、複数の金融商品を比較して、慎重に選ぶようにしましょう。
また、住宅ローンは、土地資料と建築プランを用意できないと申し込めない場合が多いので、各種書類の準備も忘れずに行いましょう。
家を建てる流れ⑥建設開始
建築確認申請
工事請負契約後、改めて希望条件や敷地条件などを反映した基本設計図、実施設計図が作られ、本見積書が提出されます。全ての確認を終えたら、「建築確認申請」を役所に提出し、建築物が法に則っているかどうかの審査を受けます。これが通れば、いよいよ工事のスタートです。設計料全体の約50%を支払う他、建築確認申請費用として5~20万円が発生します。
地鎮祭と着工
土地を平らにならした後、建物の大きさの把握や部屋割りをするために、敷地に縄を張り、地面に印をつける「地縄張り」という作業を行います。図面と見比べながら境界杭の位置や敷地境界線と建物の間隔、配置を確認したりします。
「地鎮祭(じちんさい)」と呼ばれる工事の無事を祈る儀式を執り行う場合、際マナーとして神主さんへ約3万円の謝礼を支払うのが一般的です。
地鎮祭が済んだら、その後4~5週間かけて基礎工事を行います。基礎工事は家の土台になる部分を作るための工事で、パワーショベルなどの重機で基礎の底となる高さまで土を掘り、コンクリートを打設します。
なお、建設予定地に古い住宅などがある場合には、整地の前に解体工事が行われます。
上棟
基礎ができたら、木造であれば、柱、梁、根太、屋根垂木などを組み上げる「建て方工事」に入ります。最後の「棟木」という部材が組み上がる日に、大工さんの仕事が無事に完了したことをお祝いする「上棟式(じょうとうしき)」という儀式を執り行うのが一般的です。食事や酒を振舞ったり、謝礼金などを渡して、全体で15万円ほどかかりますが、コスト削減のために簡略化する人も増えています。
下地の設置が完了すると、大工さんは現場を離れ、それぞれの職人さんが建物の外壁・天井・床など、外部に面する部分に断熱材を入れたり、屋根材や窓を取付けます。
外壁の塗装や装飾材、防水、左官工事、壁面や天井の塗装やクロス貼りなどの仕上げ工事、フローリング貼りなどの床面仕上げ工事、造作家具や建具などの工事と進んでいき、水道管やガス管、庭の石垣や植栽などを行って、工事完了となります。
家を建てる流れ⑦完成
工事が完了したら、建築確認申請の通りに建物が完成しているか、役所による検査が行われます。その後、施主や工事責任者、設計者が立ち会い、あらためて仕上がりの確認をし、問題がなければ引き渡しとなります。設備の動作確認や、傷・汚れのチェック、設備の取扱説明書や保証書の所在など、見落としのないように気を付けましょう。
鍵や書類一式が手渡され、引き渡しが完了したら、新築建物の登記簿を作るための表示登記と、権利書を作るための保存登記の申請を行います。登録には手数料と「登録免許税」という税金がかかるので注意が必要です。
また、この時点で正式な住宅ローン契約の締結となり、返済がスタートします。ローン契約の保証料、印紙税、火災保険や地震保険などに加入する場合はその保険料などがかかりますので、忘れずに準備しておくようにしましょう。